世界の美しい風景 クリスマスシーズンのハンブルクの風景 ドイツの風景
クリスマスシーズンのハンブルクの風景 クリスマスツリーと夕暮れの街並み ドイツのクリスマスの風景
ドイツ国内を流れる川としては、ライン川やドナウ川と並んで国内の流域面積が大きな川であるエルベ川。源流はチェコの山地に発するものの、全長1091キロメートルのうち727キロメートルがドイツ国内を流れる、ドイツでも重要な川の一つです。そのエルベ川が北海に注ぎ込む100キロメートルほど手前、ユトランド半島の南端部分に広がる都市が、ベルリンに次ぐドイツ国内第二位の人口を誇り、ドイツ北部の中心都市であるハンブルク。
古くから港湾都市として栄え、世界遺産「ハンブルクの倉庫街とチリハウスを含む商館街」などもある歴史にあふれる街です。地図を見るとよくわかりますが、街の中を縦横無尽に川や運河が流れていて、それらに架けられた橋の数はなんと約2500。これは「運河の街」として知られるアムステルダムよりもはるかに多く、「ヨーロッパで最も橋の数が多い都市」としても知られています。
写真はそんなハンブルクのクリスマスの時期の夕暮れの町並みを、エルベ川の支流アルスター川をせき止めて作られた人造湖「アルスター湖」の湖畔から見た風景です。
冬の夕空の透き通った美しさの下、ネオルネサンス様式のハンブルク市庁舎や聖ニコライ教会の尖塔が並ぶ、ハンブルクの長い伝統と歴史を感じさせる重厚な風景に、クリスマスツリーの輝きと町の明かりのきらめきが加わって、落ち着きと華やかさが同居したような美しい風景となっています。
ちなみに聖ニコライ教会は正確には「聖ニコライ教会跡」です。どういうことかというと、第二次世界大戦の際、連合軍のドイツ攻撃で、ハンブルクの市民4~5万人が亡くなったといわれる空襲がありました。その空襲の際に爆撃の目標とされたのがこの聖ニコライ教会の尖塔であったそうです。爆弾の衝撃と火災により主な建物は失われたものの、この尖塔は残り、戦後になって、戦争の悲惨さを後世に伝えるために「負の遺産」として保存されることが決定、多少の補修がされながら現在に至っています。(教会の歴史や戦争の被害を伝える資料館も地下に併設されています。)
クリスマスの煌びやかな美しい風景に写り込む、80年前の戦争の記憶。本当は、美しい風景をただ何も知らずに「美しい」と思えることこそ、平和の素晴らしさなのかもしれません。