夕暮れのスリー・パーダ スリランカの風景
スリランカで話されているシンハラ語で「聖なる足跡」を意味するスリーパーダ(Sri pada)は、標高2,238メートルの山。スリランカの南西部の内陸サバラガムワ州に位置するこの山は、頂上付近にある大岩にあいている穴が足跡のようにもみえるとして、仏教徒、ヒンドゥー教徒、イスラム教徒、およびキリスト教徒から、それぞれ仏陀の足跡(仏教徒)、シヴァ神の足跡(ヒンドゥー教徒)、アダムの足跡(イスラム教徒)、聖トーマスの足跡(キリスト教徒)とされ、「聖なる山」として信仰の対象になっている山だ。
山の影が雲にうつり込むのをご来光と共に眺めるのがいいとされ、人々は乾季である12月~4月頃に、主に夜中にこの山に登るという。特に、3月の満月の夜には、さながら最盛期の富士山の山頂付近のように、人々が数珠つなぎになって山頂を目指す光景が繰り広げられる。
写真はそんな聖なる山に雲の隙間から夕陽が差し込んで、まるで後光が射したようになっている幻想的な一枚。英語で「アダムスピーク」と呼ばれるスリー・パーダと周辺一帯は、生物の多様性などを理由に「スリランカの中央高地」として世界遺産にも登録されている。