夕暮れの九份老街 台湾の風景

夕暮れの九份老街 台湾の風景夕暮れの九份老街と東シナ海 台湾の風景

今や台湾を代表する観光地の一つになった「九份(九份老街)」。特に日本人にとっては、もしくはジブリのアニメが好きな人にとっては「千と千尋の神隠し」の舞台と噂され(実際は違うという話もありますが)、アニメの中に出てきたようなその情緒的で美しい風景を一目見たいと、台湾を訪れる観光客であれば一度は足を運ぶ場所ともいわれます。

1900年代初頭より金鉱の町として発展し、採掘量の減少や金の価格の下落などで1971年に金鉱山が閉鎖したあおりで一時は廃れたものの、映画「悲情都市」の舞台となったことで再び脚光を浴び、現在では内外から沢山の観光客が訪れる人気スポットとなっています。映画の舞台となったのもさることながら、この「九份老街」が人気スポットとなったのは、やはり昔ながらの伝統的な古い町並みが残り、情緒あふれる素晴らしい景観を見ることができたり、地元の美味しいグルメを堪能できるというのが大きな理由ですが、その一方で人気観光地の宿命ともいえる弊害が起きているのも確かなようです。

それは何かというと、「大混雑」と「観光客ズレ」です。多くの人が訪問を望む観光地、例えば東京の浅草などもそうですが、エリアの面積は決まっているのに、そこに二倍の人が訪れれば二倍混雑してしまうのは至極当然な話で、地元の人にとっても初めてここ「九份老街」を訪れる観光客にとっても混雑がひどすぎて快適ではなくなってしまう、いわゆる「オーバーツーリズム」と呼ばれるマイナスな現象が起きてしまっているのです。また、お店のスタッフたちも(すべてのスタッフがそうなわけでは勿論ありませんが)あまりに忙しく、また放っておいても次から次へと観光客が来ることで、サービスの低下、モチベーションの低下、接客態度のクオリティの低下などが著しく、混雑と相まって「悪循環となっている」「一度行ったらもういい」「ほかの場所でも同じようなグルメを食べられる」というネガティブな意見もちらほら見かるようになってしまっているのです。

お店の人の態度がもし噂通り「そっけなさすぎて、気分がよくない」のであれば、町が混雑しすぎであることも含め残念なことではありますが、その一方で人に関係なく九份老街が魅力的な場所であり続ける大きな理由が一つあります。それは写真の通りの絶景です。傾斜のある山間に築かれた町並みと緑の自然、そしてその向こうに見える東シナ海の絶景は一目見ただけで虜になってしまうほどの素敵な風景なのです。「サービスのクオリティ」に関してはとりあえず保留にしておいても、まずはこの絶景を目にするだけでもこの地を訪れる価値は十二分にあると思えるような素晴らしい光景です。