夕暮れのイシク・クル キルギスの風景夕暮れのイシク・クル キルギスの風景 キルギス共和国(キルギスタン)

カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、中華人民共和国と国境を接する中央アジアの国「キルギス共和国」はかつてキルギスタンと呼ばれた国。(「キルギス」の実際の発音は「クルグズ」に近いが、日本では慣例として「キルギス」と表記される。)キルギス人の祖先は2000年以上前からこの地に住んでいたといわれるが、長い間、匈奴や唐、モンゴル、ソ連などの支配下にあり1991年にようやくソ連から独立、「キルギスタン共和国」となった。(1993年に「キルギス共和国」に改称)

そんなキルギスの北西部に位置するイシク・クルは、イシク湖、イシククル湖、イシク=クル湖、イスィククリ湖などとも呼ばれる内陸湖。地図で見ると広大なユーラシア大陸の中ほどにあって、そのスケールが分かりにくいが、面積6,236平方キロメートル、周囲は約688キロメートルで、実に琵琶湖の約9倍もの面積を誇る広大な湖だ。その深さは最大で668メートル。これは世界一深い湖として知られるバイカル湖に次ぐ、湖としては世界第二位の深さだ。

一般的に、「湖」は流れ込む河川からの土砂などの堆積物により、長い年月をかけて埋め立てられ、その寿命はおよそ数千年から数万年ほどといわれているが、中には様々な条件が重なった結果、10万年以上湖として存在する湖もあり、そのような湖は「古代湖」と呼ばれる。世界には数百万の湖があるといわれるが、そんな中で「古代湖」は20ヶ所ほどしか確認されておらず、このイシク・クルはそんな希少な古代湖の一つだ。(琵琶湖も古代湖の一つ。)

古代湖は、長期間に渡り「湖」として存在しているため、その湖の環境に適応した固有種が生息してることが多く、独自の生態系が見られることで知られる。このイシク・クルは、ソ連時代に武器の実験場であったことに加え、周囲に鉱山が多く、外国人の立ち入りが長きにわたり規制されていたという事情もあり、かつては「幻の湖」と呼ばれていたこともあり、その詳しい生態系はまだわかっていないというが、「中央アジアの北という、冬にはマイナス20度を下回るような極寒の地にありながら、真冬でも湖は凍らない」、「広大な湖であるにもかかわらず、魚類は5種しかいない」など、依然解明されていない点も多いのだという。

今日の写真は、そんなイシク・クルと後方に聳える天山山脈の山々の夕暮れ時の風景。夕焼け雲が燃えるように赤く染まる。