タテフ修道院 アルメニアの風景

タテフ修道院 アルメニアの風景タテフ修道院 アルメニアの風景

アルメニアの首都エレバンから車で約4時間、アルメニア南部のシュニク地方の町ゴリスから20分ほどのタテフ村にある修道院が、秘境の地にある修道院として知る人ぞ知る「タテフ修道院(Tatev Monastery)」。現在は世界最長クラスのロープウェーが完成したことでアクセスは容易になったものの、このような場所にあることに驚きを隠せないようなロケーションに立つ修道院だ。

その歴史は古く9世紀に最初の建物が建てられたといわれ、その後幾度もの破壊や修復を経て、17世紀頃に現在のような建物になったといわれる。往時には1000人を越える修道士や職人などがおり、キリスト教関連の教育はもちろん、科学や哲学などの教育も行われた、中世のアルメニアの大学的な存在、重要な位置を占める教育機関であったともいう。

アルメニアは世界で最初にキリスト教を国教にした国で、国内には幾つもの歴史ある教会や修道院が点在する。山奥にあるこの修道院もそれらの一つ。美しいロケーションもさることながら、このような地に立つ建物と、その長い歴史に思いを馳せるだけでもこのタテフ修道院に足を運ぶ価値があるだろう。世界の辺境地に立つ建物のどれにも当てはまる事ではあるが、困難をものともせず、人々が力を合わせて作り上げた建築物の存在感と美しさは、訪れる者をひきつけてやまない力を持っている。