夕暮れの海沿いの風景

オマーンの静かな夕暮れ夕暮れ時の海沿いの風景 オマーンの風景

中東の国といえば、「石油」、そしてその地形といえば「砂漠」や「岩山」というイメージをお持ちの人も多いのではないでしょうか。

実際、東南アジアやヨーロッパ諸国などと比べると「砂漠」や「岩山」も多いですし、「砂漠を行くラクダの隊商(キャラバン)」や「オアシス都市として発展した町」といった歴史的な史実や、さらには「アラジンと魔法のランプ」「アリババと40人の盗賊」「シンドバッドの冒険」等のお話で有名な「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」など、中東で語られてきた中東を舞台にした物語にも、「砂漠」や「岩山」が登場することも多いので、そのようなイメージを抱く人が多いのでしょう。砂漠の中の岩山に巨大な神殿や劇場などが残るヨルダンの世界遺産「ペトラ遺跡」など、砂漠と岩山のイメージそのままの世界遺産もいくつもあります。

一方で、世界地図を見ると一目瞭然なのですが中東にも海は存在します。中東のほぼ真ん中ともいえる位置にアジアとアフリカの間に横たわる巨大な半島「アラビア半島」があって、その両側に「紅海(アラビア半島の西側)」と「ペルシャ湾(アラビア半島の東側)」という大きな湾があり、さらに「紅海」と「ペルシャ湾」のそれぞれに繋がる「アデン湾(西側)」「オマーン湾(東側)」、そしてアラビア半島全体の南側にアラビア海が横たわりインド洋へと続いています。

そして当然のことですが、これらの「湾」や「海」に面する地域や国には、沿岸部の風景、海沿いの町や集落、海岸の自然の風景などが広がっていて、古くから続く海にまつわる歴史や海洋文化があるのです。例えば、紀元前2000年から紀元前1700年頃には、ペルシャ湾地域の海上貿易を独占的に支配したという「ディルムン王国(ディルムン文明)」と呼ばれる海洋王国が現在のペルシャ湾に面した地域にあったとされています。

アラビア半島の南端、東側の一角を占める「オマーン」も歴史的に海洋国家であった国の一つです。ペルシャ湾の出口に当たるオマーン湾とアラビア海に面したオマーンの商船はかつてインド洋一帯を勢力範囲として活躍したといわれます。その勢力は広大で支配下にあった範囲も広域にわたり「オマーン海洋帝国」と呼ばれた時代にはイギリスやポルトガルと覇権争いをしたほどで、最盛期の19世紀には北は海を挟んだイランやパキスタン、南はアフリカ大陸のマダガスカル島の対岸に位置するモザンビークの北東端、インド洋に突き出るようにある「デルガド岬」近辺にまでその影響力を及ぼしていたといわれています。

写真はそんな「オマーン」の現在の沿岸部の夕暮れ時の風景です。ヨーロッパやアジアの海岸とはまた少し異なる、映画のワンシーンのような独特の美しさに満ちた光景。荒々しい岩山が海のすぐそばまで迫り、夕日に照らされて、幻想的な雰囲気を醸し出しています。