ヨーロッパ大陸最西端「ロカ岬」の夕方の風景 ポルトガルの風景

夕暮れのロカ岬 ポルトガルの風景夕暮れのロカ岬 ポルトガルの風景

面積にして約5493万平方キロメートル、地球の陸地の約4割を占める広大な「ユーラシア大陸」。アジアとヨーロッパを一つの大陸としてみた場合の陸域であるこの「ユーラシア大陸」、そこで暮らす人々の数は地球の総人口の約7割を占めるという、六大陸中最大=地球上最大の大陸だ。世界最高峰のエベレスト(サガルマータ・チョモランマ)を擁するヒマラヤ山脈や、世界最大の湖「カスピ海」、世界で最も深い湖「バイカル湖」などもユーラシア大陸にある。

この広大なユーラシア大陸の端は、というと最北端と最東端はユーラシア大陸最大=世界最大の国であるロシアに位置している。最北端は「チェリュスキン岬」(北緯77度43分、東経104度18分)、最東端は「デジニョフ岬」(北緯66度04分45秒、西経169度39分07秒)。一方でユーラシア大陸の最南端はというと、マレーシアにある「タンジュン・ピアイ(ピアイ岬)」(北緯1度15分58秒 東経103度30分39秒)、そして最西端が、今日の主役であるポルトガルのロカ岬(北緯38度47分、西経9度30分)だ。

ユーラシア大陸最西端は、すなわちヨーロッパ大陸最西端でもあり、このロカ岬はヨーロッパの若者たちの旅先の一つとして特に人気の場所だ。ポルトガルの首都リスボンからもほど近い場所にあり、車は勿論、バスでの日帰りも可能とあって、ヨーロッパ中から(勿論ヨーロッパの外からも)数多くの人々が訪れる。人はなぜだか知らないが「端」を目指したがる生き物なのだ。15~16世紀の開拓者たち、冒険家たち、船乗りたちはもちろんのこと、現代の若者であってもそれは変わらない。(当然、装備も知識も地図も当時と今では比較にならず、命の危険と勇気も比較にならないが。)

16世紀のポルトガルの詩人で、軍人としてアフリカやインドも訪問したルイス・デ・カモンイスは、インド遠征から戻った後、大航海時代のポルトガルの栄光と、インド航路を開拓したヴァスコ・ダ・ガマら開拓者たちを称賛した叙事詩「ウズ・ルジアダス」で、「ここに地終わり海始まる」という言葉を残しており、ロカ岬にはその言葉が刻まれた碑が立っている。

生きて戻れるかわからなかった場所へ、船で旅立った当時の船乗りたちの気概は相当なものであったに違いない。カモンイスの時代でも、航海は決して安全でも快適でもなかったはずだが、だからこそ先人たちへの畏敬の念がカモンイスにはあったのだろう。(ヴァスコ・ダ・ガマが亡くなった1524年前後にカモンイスは生まれている)