リラの七つの湖 ブルガリアの風景
「バルカン半島」(ドイツの学者が提唱した地政学的な定義で、地理的な半島とは異なる)といえば、第一次世界大戦の火ぶたが切られた場所であり、「ヨーロッパの火薬庫」として知られる所。「人間の歴史」で見ると「きな臭い」イメージが先行してしまうが、一方でとても自然の美しい所として知られるエリアでもある。
そんなバルカン半島に位置する国の一つ「ブルガリア」は、標高2376メートルのボテフ峰をはじめとする無数の山々からなる「スタラ・プラニナ(バルカン山脈)」や「スレドナ・ゴラ山脈」といった山群が国の真ん中を大きく東西に横切り、国土のおよそ三分の一を山が占めるという山国。中でもブルガリアの最高峰「ムサラ山」(標高2925メートル)を含むリラ山脈は、コーカサス山脈、アルプス山脈、シエラネバダ山脈、ピレネー山脈、エトナ山に次ぐヨーロッパで6番目に高い山脈・山群として知られる。そんなリラ山脈の一帯は「リラ国立公園」に指定され保護されているのだが、そのリラ国立公園にあって、ブルガリア国内はもとより、世界中から観光客が訪れる奇跡の場所が「リラの七つの湖」。トラキア語で「沢山の水」を意味するという「リラ」には氷河由来の湖が無数にあり、中でも最高所付近に点在する7つの大きな湖が「セデムテ・エゼラ」と呼ばれて人々を惹きつけている。その絶景は写真の通り。荒々しい山岳風景の中に、砂漠のオアシスの如く、青空を写す美しい湖が点在する様は、まさに奇跡の絶景。