凱旋門からの眺め パリの風景

凱旋門からの眺め パリの風景凱旋門からの眺め パリの街並み フランスの風景

伝統的な家屋、建物、建築物には石造り、レンガ造り、木造などの様式、工法がありますが、例えば「石造りの建物」と「木造の建物」を比べた場合、それぞれに良い部分と悪い部分があり、建築物としてどちらが優れているかというのは人により意見が分かれるところでしょう。そもそも「優れている」というのは視点や条件によって大きく変わります。「~~という条件では石造りのがいい」とか「こういう条件下では木造のほうが優れている」といった具合に、特定の前置きや条件下においてその建物がどうか、という話で、極論、その建物に住む人、使う人、見る人がその建物を好きかどうかという嗜好の話に帰結しそうです。とはいえ、例えば火に対しての頑強さ頑丈さという条件では、やはり石造りの建物に軍配が上がるでしょうか。

現存する世界最古の木造建築物である法隆寺の例を持ち出すまでもなく、しなやかさなどを持った耐久性という意味では木造も特定の条件下では丈夫ですが、やはり「木」である以上、火には弱く、歴史的に見ても台風や雷などの天災や戦禍や失火などの人災による火事で焼失してしまった貴重な木造の建物が国内外にいくつあることか。その点、石造りは火災に強く、例え建物内部の家具などが燃えてしまったり、外壁が焦げてしまったりしても、その後また何十年何百年と立ち続け、建物が使い続けられたり人が住み続けたりする場合も多いのです(全体が石造りであっても内部の骨組み・骨格に木が用いられている場合も多く、2019年のノートルダム大聖堂の火災のように木造の骨格部分が燃えて尖塔全体が炎に包まれたケースもあります。また、火災による衝撃や(たとえ石造りであっても)熱などの影響により建物が崩落したりするケースもあります。)

ヨーロッパには伝統的に石造りの建物が多いのは、多くの方がご存じのとおりですが、フランスの首都パリの建物も一般的にはその多くが石造りであり丈夫で長持ちするので、普通の人々が暮らす普通の住居も築100年以上、というのが珍しくなかったりします。当然、玄関や廊下や階段、そして室内などは修理したりリノベーションしたりして綺麗に便利に作り変えていることも多く、物件によって多少の差はあるとはいえ、築100年を超える建物であっても快適に暮らせるようになっています。建物自体が古いので、数多の職人たちが時代ごとに思い思いに改修したり増改築したりした結果、配線や配管などが大変なことになっている例も結構あるようですが、いずれにせよ古い建物であっても安直に取り壊して新しいものを建てる、という発想ではなく部分的に直したり変えたりして、住み続け、使い続けるのがヨーロッパの多くで見られる建物事情です。

今日の写真はそんな石造りの古い建物が多く残るフランス・パリの凱旋門から見た夕暮れの街並みの風景。新旧の建物が雑多に立ち並ぶ、或る意味魅力的で独特の美しい風景が広がっています。