トゥール・モンパルナスから見た夕暮れのパリの街並み フランスの風景

トゥール・モンパルナスから見た夕暮れのパリの街並み フランスの風景トゥール・モンパルナスから見た夕暮れのパリの街並み フランスの風景

上質の木材を用いて腕のいい大工がきちんと建てて、定期的にメンテナンスをすれば、法隆寺などの例のようにとても長持ちするものの、一般的には火にも弱く、シロアリなどにも弱く、台風や地震などの災害にも弱い木造建築はそれほど長持ちしないイメージもあり、ましてや東京のように江戸から明治、さらに大正時代の関東大震災や、昭和の大空襲、そして高度成長期とオリンピックなどの影響もあって、古い建物は次々に壊れる、壊される、崩れる、焼けるなどで失われてしまい、江戸時代から残っている建物など数えるほどしかありませんが、石造りの建物が多いヨーロッパの都市では一般の人が住んでいる住宅も築100年以上経っているなんていうものもざらにあり、市民らの「古い物を次の世代に残していく」という意識が高いこともあって歴史的な建物も多く残っています。

そんな都市の一つがフランスのパリ。第二次世界大戦中にドイツ軍の侵攻を受けはしたものの、ポーランドやドイツの都市などのように大規模な爆撃を受けなかったこともあって取り立てて重要な歴史的建築物、という訳ではなくとも、築100年を超える建物が幾つも立っています。そんな事情もあるのでしょうか、パリ市民たちの景観に対する意識も東京都民のそれに比べると高いといわれ、パリ中心部に超高層ビルが次から次へと立ち並ぶ、ということもなく、古い建物を取り壊して次々に新しいビルを建てるのではなく、内部は新しくリニューアルはしながらも古い建物を大切にし、伝統的な町並みも残されているのです。(その代わりにパリ近郊の新しく再開発された「ラ・デファンス」地域に超高層ビルが立っています。)そんなパリ中心部において数少ない例外が1889年完成の「エッフェル塔」と1972年完成の「トゥール・モンパルナス」です。

そのどちらも建築時には物議をかもした建築物であり、今やパリの観光名所となっているエッフェル塔もパリ万博開催時に建築された際には反対運動などもあったそうです。「トゥール・モンパルナス」も同様にパリの景観を損ねるという理由で激しい反対運動があったそうで、「トゥール・モンパルナス」完成以降にはパリ中心部に「トゥール・モンパルナス」より高い建物は立っていません。

写真はそんな「トゥール・モンパルナス」から見たパリの風景。外部から来た人間にとっては、ここから見る風景は文字通りパリの絶景であり、見ごたえのある素晴らしい風景なのですが、「トゥール・モンパルナス」をあまり好きではない一部のパリの人たちにとっては、ここから見る風景は唯一「トゥール・モンパルナス」を目にしなくてもよいのでパリで一番の絶景だ、なんて皮肉をこめていう人もいるとかいないとか。そんなパリの景観論争はさておき、パリを訪れる観光客にとって、パリの整然とした建物が並ぶ美しい街並みが望めるこの「トゥール・モンパルナス」からの展望が素晴らしいものであることに違いはありません。