マスカットの風景 オマーンの風景

マスカットの風景 オマーンの風景マスカットの風景 オマーンの風景

「マスカット」と聞けば、ほとんどの人がブドウの一種を思い浮かべることでしょう。最近では「シャイン・マスカット」が特に人気です。「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を思い浮かべる人も多いでしょうか。いずれもとてもいい香りと味のぶどうです。特別に、ぶどう好き、果物好きというわけではなくとも、あの美味しさと香りは素晴らしいものです。そのほか「マスカット」といえば「ネオマスカット」や「マスカットベリーA」という品種もあります。

ちなみに、この「マスカット」とは、「じゃ香」を意味する「muscus」から来ているそう。この品種のブドウの香りがとても素晴らしく、まるで「じゃ香」のような芳醇な香りがすることから名づけられたそうで、エジプトのアレキサンドリア港から各地に広がったことから「マスカット・オブ・アレキサンドリア」と呼ばれるようになったのだそうです。

ところで、今日の主役である「マスカット」は、オマーンの首都の名前。アラビア海からペルシャ湾へと向かう途中にある海域「オマーン湾」に面した都市で、その立地もあり、古くから交通の要衝として、貿易拠点の一つとして栄えてきました。中東でも最も古い都市の一つともいわれます。大航海時代になってポルトガルからやってきたヴァスコ・ダ・ガマによってヨーロッパでも知られるようになり、1508年にはポルトガルが軍事力でもってこの都市を征服。その後、1650年になってオマーン王朝の君主・スルターン・ビン・サーイフがポルトガルを破りマスカットの奪還に成功しています。

そんなマスカットの名前の由来は、諸説あるのですが、「停泊地」「錨(いかり)をおろす所」「山が海に落ち込むところ」といった意味の言葉から来ているとか。さらにもう一つ古代ペルシア語で強い香りを意味する「muscat」から来ているという説もあります。

もしかすると、古くからあるブドウの品種「マスカット・オブ・アレキサンドリア」と、古くからある中東の都市の名前の語源が同じなのかもしれないとすると興味深いですね。